フォンダンショコラな恋人
おまけのお話

似た者同士

「むちゃくちゃ緊張した」
翠咲の実家に挨拶に行った帰り道、実家に来ると翠咲がよく行くというカフェに、二人で寄ることにした。

駅にほど近いそこは、ウッドデッキにパラソルが並べられている開放的なお店だ。

そこの椅子に深く座った陽平は、普段見たこともないような大きな息をついていた。

「お疲れ様ー。あははー、警察署に行っても襲われても動揺しない陽平さんが緊張するって、よっぽどなんだね」

陽平は普段はホットの飲み物を注文するのに、アイスを頼むところにその緊張度合いが現れている。

「喉がカラカラだよ」
「貴重な陽平さんだー」

「他人事のように言っているけれど、今度は翠咲の番なんだからな」

……うっ……面白がっている場合ではなかった。

「あれ……翠咲?」

ウッドデッキに面した道を通りかかったのは制服を着た少年で、今時の高校生らしく、首にはワイヤレスのヘッドホンをかけている。

「あ、晃希? あらーすごく身長が伸びてる‼︎」
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