辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する

第二話 暗号

■ 第二話 暗号


 小鳥の囀りが聞こえて、サリーシャはゆっくりと意識を浮上させた。今日はいつにも増して、心地がいい。自分を包む布団の温かさに無意識に擦り寄ると、くくっと笑いをかみ殺したような声がして、サリーシャはパチッと目を覚ました。擦り寄った布団越しにヘーゼル色の瞳がこちらを見つめている。

「? えっ??」
「おはよう」
「……おはようございます?」

 すっかりと明るくなった部屋で、なぜかセシリオが自分のベッドに白いガウン姿で添い寝している。機嫌がよさそうなセシリオは目を真ん丸にするサリーシャの頭をくしゃりと一撫ですると、そっと額にキスをした。柔らかな感触が肌に触れる。

「気分はどう? 体は辛くない?」
「……気分も体調もいいです」
「それはよかった。水を飲む?」
「……はい」
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