私は天使に侵されている
引っ越しと契り
結局……ほとんど納得できないまま荷造りをし、午後には来夢のマンションに荷物を運び入れたのだった。

拒否なんてできる状態ではなかった。
健悟達・暴走族の仲間がぞろぞろ現れ、令子達女性が荷物を段ボールに詰め、その詰めた荷物を健悟達がトラックに運び入れていく。

しかもその間…美麗は来夢にしっかり抱き締められ、身動きが取れない。

あれよあれよという間に、美麗が住んでいた部屋は空になり、来夢にバイクに乗せられマンションに連れて行かれたのだ。

「………」
「美麗、早く中入ろ?」
「来夢くん、こんな凄いマンションに住んでたの?」
「うん、これパパのマンションなの」
美麗の想像を越える、いかにも富裕層しか住まないであろうタワマン。
美麗は首が痛くなるくらいに見上げ、開いた口が塞がらない。

来夢に手を引かれ、エントランスに入る。
エントランスホールもホテルのロビーのように凄い。
そのままエレベーターに乗り込む。
「僕達の家は、最上階だからね!」
「えー!?す、凄い……」

美麗はただ、ただ…圧倒されていた。

「凄い!!」
「景色も、素敵……」
「部屋広い!!」
ひたすら驚愕に包まれている美麗と、微笑ましく見る来夢。

「あ!!」
「ん?どうしたの?美麗」
「こんな凄いとこ…私、お金払えないよ……
例え折半だったとしても……
それに、執事さんなんて……もっと、お金が……」
「…………
美麗、何言ってるの?」
来夢はきょとんとして美麗を見下ろしていた。

「え?」
「美麗って、ほんと……不思議な女性だよね……?」
「へ?」
「うーん、律儀ってゆうか、純粋ってゆうか……!
まぁ…だから、惹かれたのかな?
可愛いなぁ~!」
フフ…と微笑みながら言った来夢。
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