私は天使に侵されている
軟禁と侵食
それから、一ヶ月が経った。

美麗はマンションに軟禁状態で、来夢以外とは外に出られない。
毎晩のように抱かれ、来夢に愛を囁かれる。
“美麗、大~好き!”
“可愛い、美麗”
“ずーっと、放さないから!”
“美麗がいれば、僕は何もいらない”

その為か最近、来夢がいないと不安になるようにまでなってきていた。

「美麗、行ってくるね!」
「うん…何時に帰ってくる?」
頭をポンポンと撫でながら言った来夢の服を、キュッと握り見上げた美麗。

「………//////
今日は、お昼過ぎには帰れるよ!
終わったら、急いで帰るから一緒にお昼ごはん食べよ?待っててね!」
あまりにも可愛い美麗の姿と言葉に、身体が昂るのを感じながら、その欲をグッと抑えて再度頭を撫でて出ていった来夢だった。


朝、来夢を玄関で送り出すと部屋の掃除や洗濯等を行う。
来夢がいない時、何かしていないと不安でおかしくなりそうなのだ。
洗濯物を干していると、インターフォンが鳴った。

「誰だろ?でも、居留守、居留守!」
もちろん来夢がいない時の外部との接触も禁止されている為、居留守を使う。

何度か鳴っていたインターフォンがやんだかと思えば、今度は玄関のドアがドンドン叩かれ始めた。

「え?嘘……だ、誰?」
そーっと覗き穴を覗くと健悟がいた。
「え?健悟くん?」
思わずドアの鍵を開けた美麗。

「美麗ちゃん!良かった!
ねぇ、俺と逃げよう!」
「え……?」
「今は、来夢は講義中で、杉宮さんはユメノ銀行で仕事中だから!今がチャンスなんだ!」
「どう…して……?」

「俺、美麗ちゃんのこと好きなんだ……!」

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