関係に名前を付けたがらない私たち
3章

*色黒から色白へ

―――ガン高ブーツやマイクロミニのブームが過ぎ去り、急に色白清楚系ブームが訪れた。

 バイブルにしていたギャル雑誌の廃刊が決まり、私は自分が何を着て、どんな髪型、どんなメイクをすればいいのか、方向性が定まっていなかった。

 二重いっぱいに埋め込んでいたアイラインだったり、つけまつ毛の重ね付けに慣れていたせいか、薄いメイクは何だかさっぱりし過ぎて、自分に似合っているのかすらわからない。

 でも、耕平は「そっちのが可愛いじゃん」といつも言っていた。

「ほんとに?」

「うん。あいぼん、元が可愛いから厚塗りしなくても全然イケるよ」

「そうかな」

 金髪から茶髪にトーンを落とし、頭のハイビスカスはもう付けなくなった。パラパラのレッスンビデオも処分し、ギャルっぽいものが部屋からめっきり減ってしまった。

 耕平と付き合い初めて1年半が過ぎた頃、弁当屋さんが経営不振のため廃業が決まった、と耕平に唐突に告げられた。
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