朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
parkside A side撫子
打ち上げ会が終わり、バンクロのスタッフさんに挨拶していると、達矢さんがやってきた。

「ナコちゃんごめんね! 全然挨拶に行けなくて」

「いえ! フフフ、お忙しそうでしたから。達矢さん相変わらずモテモテですねー」

「あれは仕事の一環だよ。
むこうだって、次の仕事に繋げるために接待してくれてるだけ。それに、今日のはちょっと違うんだ」

そうかなぁ……
皆さん、あわよくば、って思ってるの見え見えだったけど。

「……あのさ、ちょっと話があるんだ。
この後、時間ある?」

「え、二次会は?」

「……ちょっと今日はパスだな。
軍資金は課長に渡しておいたから。
そんなに時間は取らせないよ。
ナコちゃん、今日は最終で帰らずに泊まって行くんだよね?」

「は、はい……」

どうしよう……。
この後、真が来るんだけど。

時刻は21時30分。
真が店を閉めるまで、あと1時間ある。
すぐに終わるって言ってるし、少しなら……。

「俺も今日はホテル泊なんだ。
明日は東京で会議だからいつものホテルに一泊していく。ナコちゃんのホテル、どの辺り?
そこにラウンジがあるなら、そっちに行くよ」

「え、いや、この近く……久屋大通り駅近くのビジネスホテルです。
……でも小さなホテルだから、ラウンジはないですね」

これは本当。
チェックインした時に確認したから。
それに泊まらないとわかっているホテルにお金をかける必要もない。だからとっても小さなビジネスホテルなのだ。
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