朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
真夏の夜に  side真
「手伝えない」と言って泣きじゃくる泉を抱きしめる。
久しぶりに抱きしめる泉の感触。
懐かしい泉の香り。
妹だとわかっていながらも、生まれた時から1番大切な存在だった。
ずっと、ずっと、俺の唯一の女だった。

でも、今俺の腕の中にいる泉は、やっぱり妹だった。
いつからか……なんてわかっているけど、もうとっくに俺の中で、泉は妹になってたんだ。

「……こら、泣くな。
明日は花の結婚式なんだぞ。
目が腫れるだろう? 」

「う、う〜〜、だって……」

「ほら、泣きやめ」

そう言って、いつものように頭にキスをする。
京に見られたら殺されそうだけど。
多分、これが最後だ。
だから許せ。




それから俺達はしばらく抱き合っていた。
おそらく泉も、同じ気持ちだったのだと思う。

これが最後。
これから先、俺達の一番はお互いじゃなくなる。




真夏の夜風が、俺達の髪を揺らした。












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