あの日溺れた海は、
6.教師として
 階段から落ちて挫いた右足も次の日には痛みは幾分か引いたので湿布を貼って駅まで歩いて登校することになった。


昨日の夕方には亮から「一緒に登校しようか?」なんてメッセージも来ていたけれど「朝練を休みたいだけでしょ」と一蹴した。



「おはよ!はなちゃん、昨日大丈夫だったの?」


教室に入るなりわたしに駆け寄ってきた星香ちゃんはそう言うと、眉を下げてちらりとわたしの足に視線を送った。


「ありがとう、大丈夫だよ…あ、今日の体育は休むけど…。」


痛みが幾分か引いたとはいえ、まだ完全に治ったわけではない。念のため休むつもりだと言うことを添えると星香ちゃんはそっかあ、と呟いた。


「無理しないでね、何かあったら手伝うから!」と言う星香ちゃんにお礼を言うと自分の席に向かった。
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