あの日溺れた海は、
7.藤堂先生と初恋
 結局体育祭中は、藤堂先生に話しかけることは出来ず、ただ複雑な心境でテントの中に座る先生を見つめることしかできなかった。
 
 
 そんな私の気持ち他所に時間はどんどん過ぎていく。
 
 
 体育祭が終わり、中間テストも流れるように過ぎていった。私と先生の関係は至って変わらず、ただの普通の副担任の先生と生徒と変わらなかった。もしかしてあの体育祭の時も月が見間違えただけなのかもしれない、そもそも全て幻覚だったのかもしれないと思うほどだった。
 
 
 
 
 中間テストが終わりだらけきった空気が流れるかとも思ったが1か月半後に待ち構えてる文化祭に向けてクラスには体育祭に引き続き情熱と一体感がみなぎっていた。
 
 
 そんな中わたしたち文芸部員は毎年文化祭に合わせて発行する部誌の方に力を入れていた。
毎年短篇でも長篇でも書き下ろしを一つ書き上げて部員全員の作品を集めて一つの本にする部誌は、文化祭で無料で来場者に配るのが伝統だった。
 

 
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