エリート弁護士との艶めく一夜に愛の結晶を宿しました
Honey.3 思いがけない一大事
 五月晴れが続き、過ごしやすい日々が続いている中、稀一くんがいよいよ帰ってくる日になった。直前まで連絡を取り合っていたけれど会うのはほぼ二カ月ぶりで、少しだけ緊張する。

 平日だが、今日は休みをとって朝から部屋を掃除して家事をこなし、お風呂を沸かしてすぐに休めるようにベッドを整えておいた。

 昼過ぎに帰宅予定とは聞いているけれど、長時間のフライトに時差もあって疲れているだろうし。

 私はため息をついては手を止め、椅子に座る。ここ最近ずっと原因不明の体調不良が続いていた。発熱や咳といった症状はないが、どこか気だるく、常に胃がむかむかして食欲が湧かない。

 おそらくストレスだ。

 稀一くんのことであれこれ悩みすぎた。ひとりの時間は良くも悪くも、じっくり考える時間を私にたくさん与えた。きっと考えてなくていいことまで。

 倦怠感が抜けない体に気分まで落ち込み、この悪循環を早くなんとかしないと、と自分の頬を軽く叩く。

 稀一くんと話して、ちゃんと向き合おう。

 そう決意して一心不乱に部屋をピカピカにしていく。そして予定よりもやや早く、少しだけくたびれた顔をした稀一くんが帰ってきた。

「ただいま、日奈乃」

「おかえりなさい」

 本人を目の前にすると、迎えるまでの緊張が嘘みたいに、会いたかった気持ちが溢れ返る。

 行きにはなにもなかったスーツケースの表面にあれこれ空港のシールが貼られていた。そのまま帰ってきたらしい。
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