ボトルメール
もちろん朱里さんへの用事なんてない。楓を送るための口実だ。
「そっか…。というか伝えておこうか?」
「いや、直接話したいんだ。」
それも嘘だ。
「じゃあ、頼んだ。とりあえず途中まで帰ろうぜ」
「そうだな」
荷物を全て持ってバスケコートを後にした。
彰の家まで行き、一旦自分の家に帰り、母に「楓を送ってく」とだけ伝え、再びた家を出て再び歩き始めた。
「わざわざごめんね」
「いや、大丈夫だよ。それに、ここら辺暗くてあぶないから。」
この道は夜になると真っ暗になる。前にも言ったがここら辺の街頭は消えかかっているので危ない。
それに、楓は可愛いから余計に危ない。
「久しぶりに彰のバスケしてる姿を見れた。俊、本当にありがとうね」
楓は苦笑いとかではなく心の底から笑った。
「俺は…何もしてないよ。ただ、彰がバスケしてるって教えただけだから」
「そんなことないよ。私は彰と俊のバスケが見たいんだから、どちらかがかけたら意味ないの」
楓が嬉しそうにしてた理由に俺も含まれていて少しだけ嬉しかった。
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