ボトルメール
楓の方はと言うと、あれから勉強を頑張って難関高校に無事合格した。今でも時々連絡を取っている。
佐伯はと言うと、随分前に佐伯が嬉しそうにしていた時があったが、理由が判明した。
「俊先輩!練習再開しますよ!ほら!彰先輩も!」
この通り、佐伯も同じ高校に通っている。ちなみに佐伯も寮だ。しかも部屋が足りないからか、俺たちの隣の部屋で過ごしている。
「今行くわー」
ちなみに、佐伯もあの人にスカウトされたらしい。理由はだいたいわかる。監督兼マネージャーをして、俺たちを全国大会まで引っ張りあげてくれたのは佐伯だ。そんな監督力?が目に止まったそうだ。
俺たちが高校二年生で、佐伯が一年生。この一年の差は俺が留年しない限り中学の頃と変わらない。ひとつ変わったことといえば佐伯が俺をやたら遊びに誘うことが増えた。そんな日々を過ごしている。

そんなある日、今日は部活がオフということもあり、三人で映画に行くことになった。
部屋が同じなのに、彰が「先に行っててくれ」と言うので少し早いが駅に着いてしまった。
駅にある時計を確認すると十三時二十五分を指していた。待ち合わせ時刻は十三時三十分だ。
< 253 / 348 >

この作品をシェア

pagetop