ボトルメール

「…そう…何だ。」
「うん。」
楓は体育座りをしたまま顔を腕の中に入れてしまった。
「俺も…ずっと前から好きだったよ。」
楓にだけ言わせるのは嫌だった。俺がそう言った時、楓はハッと顔を上げて俺に方に向けた。
「それ…本当?」
「本当だよ。」
俺はにっこり笑って楓の方を向いてそう言った。
「…でも、自分勝手かもしれないけど、そういうのは待って欲しいな」
「そういうの?」
「付き合うとか…そういうの。彰の病気が治るまで…」
「なら自分勝手なわけあるかよ。俺も待つから。ずっと…」
「あのさぁ、他の女の子好きになったらダメだからね?」
「大丈夫だよ。何年耐えたと思ってんだよ。この気持ち言うのに。」
「ありがとう。え、ちょっ…」
俺はスっと楓のことを抱きしめた。どうか、これくらいは許して欲しい。すると楓も俺の背中に腕を通して抱きしめてくれた。
今日は、結果はどうであれ楓に気持ちを伝えられただけで俺は満足だった。
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