相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
プロローグ*待望の妊娠
「おめでとう…遥先生…君は妊娠したよ…週数で言えば、七週目だ」

「感謝します・・・辻教授」

辻教授自ら、私の妊娠検査をしてくれた。

「これが赤ちゃんだ」

辻教授が慣れない手つきでプローブを私のお腹に滑らせ、胎児の様子をモニターでチェックした。


「見えています…」

初めて見る奏弥さんと私の赤ちゃん。


私は嬉し過ぎて涙が溢れた。

「…一つ気になるコトがある…君も気づいていると思うが…」

「はい…」

少量であるが不正出血が見られた。
まだ、妊娠初期、このまま流産してしまう可能性の方が大きかった。

「絨毛膜下血種がある…」


辻教授の言葉に愕然とした。

絨毛膜下血種

妊娠初期や中期に見られる胎嚢の周りに見られる血液が溜まった部分を差す。
不正出血で気づき、超音波検査で発見される。
全妊娠の0,5から22パーセントの確率で見られる。
多くの場合は安静と自然経過で改善されるらしい。


「…大丈夫だと思うが…血液検査で炎症をチェックして、子宮頚管の細菌の培養を調べよう…」

「はい…」

「私では心もとないだろう…杉村にやらせる…」

「それでは…奏弥さんには…」

「君の妊娠が安定期に入るまでは…口止めしておく…安心しなさい」

「・・・」


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