天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
8、もっとギュッとしてほしい
『茉莉花さん、僕は一目君に会った時からずっと君のことが好きだったんだ』
田辺さんの告白を聞いても全然心を動かされなかった。
この人の言葉には心が宿っていない。
女性が喜ぶセリフを言えば、簡単に落ちると思っている。
真っ白な空間に彼とふたりきり。
これは夢なのだろうか。
まあ、夢だろうが現実だろうが私の答えは決まっている。
『ごめんなさい。私は結婚に興味ないですし、もう片岡茉莉花ではありません。他のご令嬢と結婚された方がいいかと思います。私はあなたに相応しくない』
相手の面子も考えて断るが、彼は引き下がらず私に迫ってくる。
そこでなぜか空間が変化し、私はベッドの上にいて田辺さんが覆い被さってきた。
『そういうところがいい。必ず僕に惚れさせてみせます。逃しませんよ』
彼が私に顔を近づけて唇を奪おうとする。
怖かった。
身体が硬直して動かない。
こんな心のない人にいいようにされるなんて絶対に嫌だ。
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