天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
11、保護者がふたりになる
「茉莉花ちゃん、さっき診察室の前の椅子に茉莉花ちゃんのお兄さんが座ってたんだけど、なにか気になる症状でもあるのかな?」
香織さんの話を聞いて、「え?」と声をあげ、パソコン画面から顔を上げた。
岡山の学会から一週間後、私は幸せの真っ只中にいた。
女の子が恋をする気持ちがようやくわかった。
好きな人ができて、その人と一緒にいるととても楽しい。
心臓がおかしいんじゃないかってくらいドキドキするけれど、毎日がとても新鮮で周りがキラキラ輝いているように見える。
私がそう感じるようになったのは樹に恋をしているから。
自分が男の人に夢中になるなんて思ってもみなかった。
毎日樹のことしか考えられなくなって、彼が私に微笑むだけで嬉しくなる。
それに、樹がそばにいることでエネルギーが湧いてくるというか、仕事も頑張ろうって思えるのだ。
恋の力ってすごい。
このまま幸せな時間が続いてほしい。
そう思って兄からの電話は全部無視していた。
私と樹とのことでとやかく言われたくない。
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