天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
14、ずっと一緒に
「うわ〜、香織さんも、茉莉花ちゃんも、赤いワンピースかわいいですね。アイドルみたいですよ」
サンタの格好をした長野先生が私と香織さんを見て頬を緩めた。
今日はクリスマスイブ。
病院でも今日はクリスマス一色。
午後五時から一階ロビーでクリスマスコンサートが開かれていて、私と香織さんは出番を待っているところ。
私達事務員はハンドベルをやることになっている。
誘拐事件から4カ月経ち、私は樹や周囲のみんなの助けもあって穏やかな日々を送っている。
田辺さんは現在拘置所にいて、過去の彼の親族の不審死についても取り調べを受けている。
もう司法に任せる形だが、田辺さんの弁護士は精神疾患による無罪を主張。樹は『例え無罪になったとしても彼は精神病院に強制的に入院させられるだろう』と言っていた。
有罪になれば収監されるし、これで彼に怯えて暮らすことはない。
「もうアイドルっていうほど若くないけどね」
香織さんが自虐的に返すと、長野先生は「いやいや、まだまだいけますよ。十歳くらいに見えますもん」と冗談を言う。
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