強情♀と仮面♂の曖昧な関係

共に暮らす男、福井翼

「ただいま」
家に帰り、自分の部屋のリビングで、ソファーに倒れ込む。

「おーい、酔い覚まし飲めよ」
玄関から翼の声がする。
「はーい」

冷蔵庫から翼のお母さんが送ってくれた漢方を取り出して、
うわー、これ苦手なのよね。
でも、明日の勤務のことを考えれば、
ゴックン。
苦っ。
ありがたいと思っていただきます。

「なあ紅羽、お前明日日勤だろー」
またまた階段下から大きな声。

ッたく、うるさい。
でも、勝手に入ってこないのが翼。
あくまでもシェアハウスなんだから。
必要以上に干渉したり、勝手に入ってくる事はしない。

「そうよ。だから寝るの。うるさいわねっ」
「母さんがパン買ってきてるから、食えよ」
へ?

言われてドアを開け、2階に上がったところにある踊り場スペース。
本当だ、紙袋にパンがぎっしり入っている。

いつもありがとうございます。
お母さんは誰が食べているか知らないんだろうけれど・・・
申し訳ないようで、とってもありがたい。

「ありがとう、いただきます。お母さんにお礼言ってね」
「ああ」
おやすみ。


< 5 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop