みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 まだ事態が把握しきれず、そんな間抜けなことを言ってしまった。

「ちょっと〝ベタ〟すぎってあきれた?」

 わたしはぶんぶんと勢いよく頭を横に振った。
「そんなことないよ」

 春の光みたいに柔らかな視線でわたしを見つめ、大洋は言った。
「だって、今日がおれたちの本当のはじまりだろ。だから、なんかちゃんとしたかったんだ」

 かぐわしい花の香りと大洋の言葉に酔わされて、めまいが起こりそうだった。

「もう……花束を貰えるなんて思ってもいなかったから。ありがとう、ほんとに」

「良かった……あのさ、とりあえず、部屋に入れてくれる?」
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