みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 咲ちゃんには気のないそぶりをしたけれど、実はいまだに、彼が雨のなかを走り去っていった光景は、色褪せずにわたしの脳裏に焼きついている。
 会えるといいな。
 この傘、返さないといけないし。
 そう思って毎日、通勤のときにそれとなく探したけれど、それらしき人を見かけることはなかった。

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