みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
第2章 試金石
 ***

 1週間後。

 その日は遅番。
 この時間に帰るのはあの日以来はじめてだった。
 
 あの日と違って、今日はよく晴れている。

 車窓から見えるのは、細い三日月と寄り添っているような、ひときわ明るい星。
 暮れかけのほんのりと明かりを残した空を飾っている。

 改札を出て、いつものようにきょろきょろと辺りを見回す。
 
 いない……よね。

 なんとなく帰りがたくて、電車3台分、駅の柱にもたれかかって待った。
 待ち合わせをしている(てい)で。

 電車が着くたび、改札に目を凝らしたけれど、それらしき人物は見当たらず。

 あーあ、今日も外れか。
 そう思って、自分でも驚くほどがっかりした。
 
 
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