みうとうみ ~運命の出会いは突然に~
そのまま家に帰るのは、なんとなく物足りなかったので、いつもの降り口とは反対側にある本屋に立ちよることにした。
横断歩道の前で信号待ちをしていたそのとき。
目が一点に引きつけられた。
向かいで待つ人のなかの、栗色の髪に。
いた。
信号が青に変わったとたん、その人めがけて走りよった。
「あ、あの……」
「?」
彼はきょとんとした顔で、こっちを見ている。
わたしはトートバッグから傘を取りだした。
「これ、ありがとうございました」
そう言って、頭を下げた。
「ああ、あのときの」
そのとき……
ブッブーーーーーッ!
クラクションの大音量。
あっ、ここ、横断歩道の真ん中だった。
「おっと、やべ。あそこまで走ろう」
そう言って、わたしの二の腕の辺りを掴むと、せーの、と走りだした。
彼はわたしの速度に合わせて走ってくれた。
二の腕をつかんだまま。
走りながら、中学生のときにフォークダンスで男子と手を繋いだとき、照れくさかったことを思い出していた。
横断歩道の前で信号待ちをしていたそのとき。
目が一点に引きつけられた。
向かいで待つ人のなかの、栗色の髪に。
いた。
信号が青に変わったとたん、その人めがけて走りよった。
「あ、あの……」
「?」
彼はきょとんとした顔で、こっちを見ている。
わたしはトートバッグから傘を取りだした。
「これ、ありがとうございました」
そう言って、頭を下げた。
「ああ、あのときの」
そのとき……
ブッブーーーーーッ!
クラクションの大音量。
あっ、ここ、横断歩道の真ん中だった。
「おっと、やべ。あそこまで走ろう」
そう言って、わたしの二の腕の辺りを掴むと、せーの、と走りだした。
彼はわたしの速度に合わせて走ってくれた。
二の腕をつかんだまま。
走りながら、中学生のときにフォークダンスで男子と手を繋いだとき、照れくさかったことを思い出していた。