みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
「ほら」

「ありがと……」
 グラスの水を受け取り、一気に飲み干した。

 乾ききった喉に水分がしみ込んでいくのがわかる。

「日本酒飲んだ辺りで、あなた、カウンターにぱたっと突っ伏して、そのまま、つねっても叩いても起きないからさ」

 寝落ち?
 そんなの初めて。

「それで、柴崎さんだっけ? 彼女に聞いたら前に一度先生の家に行ったっていうから場所聞いて、たまたまおれも知ってるアパートでさ。無理矢理起こしてタクシーに乗せたはいいけど、なんだかあやしいから、部屋の前まで送って帰ろうとしたら」

「したら……?」

「『帰らないで』って甘い声出して、そっちが誘ってきたんですけど」

「ひえっ、う、うそ」

 ぶんぶん首を振ったら、さらなる頭痛に襲われた。
「つうーっ」

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