それから1カ月ほど経った平日の昼すぎ。
 カウンターで仕事をしていたときのこと。

 ああ、眠たいと、つい欠伸をしかけたとき声をかけられた。

「あの……」

 若い男性の声。
 あちゃ~。
 間抜け面、見られた。

 でもこんな真昼間に若い人なんてめずらしい。
 この時間、たいてい、リタイアした年配の方が多いのに。

「何か?」と顔を上げるとにやにやした顔でこっちを見ている。

 一瞬、自分は目を開けたまま夢を見ているのかと思った。

「よかった。会えた。あなたがいるかどうか聞こうと思ったんだけど、そう言えば名前知らなかったって気づいて、どうしようかなと思ってたんだ」