激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

そう理性がブレーキをかけようとしても、勝手に期待してしまっている自分がいる。

もしかしたら颯真は嫉妬してくれたのではないか。結婚指輪という所有の証で、自分を束縛してくれているのではないか。

『ちゃんと理解して。もう君は俺のものだって』
『誰にも渡さない。俺だけの……』

熱い吐息混じりで耳に届いた颯真の言葉が震えるほど嬉しかった。

姉の身代わりで結婚して8ヶ月。
颯真の妻として初めて迎えるクリスマス。今年はイブが金曜で当日が土曜日。なにか仕事でトラブルが起きない限り、イブの夜にレストランで食事をしようと颯真に誘われていた。

(…告白、してみようかな……)

既に結婚していて身体も重ねているのに今更ではあるが、『好き』だと気持ちを伝えたことは1度もないし、颯真からその言葉を聞いたこともない。

颯真は姉の弥生が好きなのだし、自分の気持ちを打ち明けたところで、優しい颯真の重荷になってしまうのが怖かった。

政略結婚の相手から寄せられる好意なんて迷惑に決まっている。それでなくとも『好きな相手の実の妹』だなんて気まずいに違いない。

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