激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

ハートモチーフが多く飛び交い、街全体が浮かれているように感じる2月。
バレンタインという行事は保育園には関係なく、節分が終わったばかりの今はひな祭りの準備に追われている。

千花は例年保育園で購入しているひなあられの代わりに、お餅やお麩、米粉などを使って手作りしてみようと矢上と企画し、レシピを試行錯誤している。

来週の月曜日には互いの案を持ち寄りレシピを固め、園長へ許可を求めに行く予定だ。

家での試作用に切り餅や着色用のストロベリーパウダーなどを仕事帰りに購入し、さらに10日後に控えたバレンタイン用にチョコケーキの材料も買い求めた。


「お帰りなさいませ、月城様。お荷物をお預かりしております」

食材の買い物を終えてマンションへ帰り着くと、コンシェルジュの男性が大きな箱を取り出した。送り主はどうやらニューヨークに戻った姉かららしい。

「お部屋まで運ぶのをお手伝いさせて頂きますね」
「すみません、ありがとうございます」

さすがにカバンと荷物を持っている千花ではこのサイズの箱は運びきれず、玄関まで運んでもらうことにした。

コンシェルジュの男性に丁寧にお礼を告げて別れ、リビングで届いた箱を開けてみる。中にはニューヨークで今人気の店のチョコレートボンボンやショコラの箱がいくつか入っており、それとは別に高級ファッションブランドの袋も多数詰め込まれている。

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