激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

「おかえりなさい」
「ただいま、千花。お、いい匂い」
「この前ロールキャベツってコンソメでしか食べたことないって言ってたでしょ?だから今日はトマト煮込みで作ってみたの。出来たてだからもう食べられるよ」
「へぇ、美味そう。すぐ着替える」

出迎えた千花にちゅっと音を立ててこめかみにキスを落とし、天然石の玄関ホールを抜けて私室へ向かう颯真の背中を見送る。

未だにこの甘いやりとりに慣れず、唇が軽く触れた目元をおさえるとほんのりと熱い。


新婚旅行から1ヶ月。
日本へ戻ってくるなり、千花は颯真の所有する39階建てのタワーマンションの最上階にある新居へ引っ越した。

引っ越しと言っても大層なものではなく、ほぼ身一つで事が済んだ。

颯真が旅行前に全て手配し、必要なものは全て揃えていくれていたため、家具などは全て実家の自分の部屋に置いたまま、身の回りのものだけを持って行くだけでよかった。

2人の新居は去年建てられたばかりの新築で、当然月城不動産が管理している物件。

24時間常駐のコンシェルジュサービスはもちろん、ゲストルーム、パーティールーム、フィットネスジム、バーラウンジまで完備されていて、エレベーターに乗るにもカードキーが必須という防犯面も万全なマンション。

< 28 / 162 >

この作品をシェア

pagetop