王子達は公爵令嬢を甘く囲いたい

 


 教会は、ファンタジー定番な白い壁で金の飾りがあり、神々や神話の絵が描かれたステンドガラスは太陽の光が注いでキラキラ輝いている。

 敷地内に入ると神聖な空気が私たちを優しく包み込んだ気がした。

 「ザライド、アンジュ。神官様の指示に従って
 行いなさい。」

 
 お父様とお母様はそう言ってから少し離れた場所へ行った。

 周りには、私たち以外にも数人の子供達が小綺麗な格好をして集まっていた。
 
 全員男の子だ…。本当に女の子が少ないんだな…。友達できるかな……桜みたいな…。

 はぁ、と思わずため息をついた。いけない。こんなの、ほのかの、私のキャラじゃない。

 私は深呼吸を1つして気分を変えると、他の子息達に兄様と挨拶をしに行った。


 「僕は、エルドラード公爵子息ザライド=リー
 ノ=エルドラードと言います。こっちは、双子
 の妹のアンジュです。」

 「ごきげんよう。私はエルドラード公爵令嬢で
 ザライド兄様の双子の妹、アンジュ=リーノ=エ
 ルドラードと申します。」

 私は習ったカーテシーをした。これ、結構足がぷるぷる震えちゃうんだよね。疲れるし。やっぱり走ったりして体力づくりしようかな…。

 「「「………」」」

 
 あ、あれ?なんで黙ってるの?どこかビックリしたような感じだ。どこかおかしかっただろうか?

 私が不安になったのを感じたのだろう。兄様がギュと私の手を握ってきた。

 「アンジュ、大丈夫だよ。みんなアンジュが
 か、かわいくて驚いてるだけだよ。」

 兄様…ありがとう。お世辞でも嬉しいよ。

 「お、俺はルビーノ伯爵子息レヴェッシュ=ル
 ビーノだ。友だちになってやらないこともない
 からな!」
 
 お、おぉ…。何かキャラ濃い子だな。

 
 それから他の子達とも挨拶をすました。
 共通点は、みんな私をじっと見てからザライド兄様を羨ましそうに見るという、よく分からないことだった。

 一体何なんだったんだろう?
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