可愛いキミは、僕だけの××
◇ 夏、キミが本気になった


***


体育祭は紅組の勝利で終わり、明日から夏休みに入る……のはいいんだけど、


「夏休みだからと言って怠けず、規則正しい生活を心がけましょう。課題は計画的にやるように」


……あっつい!!

暑い暑い体育館で、校長先生の長い話を立ったまま聞いているのはすごく辛い。

窓とか全部開けて換気をしているけど、
あんまり効果は感じられない。

途中で気分が悪くなって、しゃがみ込んでいる子もいた。


もう、ほんとに暑すぎてたまんない!!

早く出ないと私も倒れそうだよ。


「……それでは、有意義な夏休みを送って下さい。以上」



はぁ、やっと終わったぁー!

3年生から順番に教室へと戻って行く。


ふと、体育館から出ていく秋元先輩の背中をじっと見つめた。

他の男子より背が高いから、一際目立つ。


明日から、しばらくせんぱいと会えなくなるんだ。

こればっかりは仕方がないよね。


……今日が見納めか



体育祭の日以来、せんぱいと廊下ですれ違うと挨拶を交わすようになった。

でも、それだけ。


城間先輩や戸梶先輩がいる時は多少立ち話をするものの、せんぱいがあまり喋らないのと、周りの女子の視線が怖くて早々に引き上げてしまう。


諦めずに頑張ろうって、決めたばっかりだけど進展なし。前途多難だ。


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