スイートルームにロックがかかった瞬間。一気に柔らかそうな前髪が近づき、またたく間に深く唇が奪われた。すかさず滑らかな舌先が滑り込み、口内を甘やかに侵す。

「……やっと、俺のものにできる」

すぐるさんはまるで、長年待ち堪えたような言い方で大きなベッドに組み敷くと、性急に私の身体を愛していく。

「ん…っ、待って、シャワー……」

「待てない。一度君を味わってからだ――」

指先が絡み合い、私の身体のあらゆるところに落ちていく彼の口付け。

頭がふわふわして気持ち良くて、体に力が入らなくなる。

脳が陶酔し、理性がガラガラと音を立てて崩れていく。

こんなに丁寧に愛されるのは、はじめてだ。

ココロもカラダも、彼の手中に落ちていく。

「さえ……。これから毎晩愛して、俺から離れられないようにする……。覚悟してね、俺の奥さん」

その瞬間、疼いていた身体が大きく開かれて、目の前に閃光がほとばしるようにチカチカした。

しだいに振り子のように、リズミカルに身体を揺らす彼の背中に、かたく腕を巻き付け、与えられる甘い快楽に酔いしれる。

異国の地で出会った麗しきホテル王からの、情熱的なプロポーズ。

それは――“利害一致婚”という不思議な形で結ばれることになった私たちの、突然すぎる新婚生活の始まりの合図となったのだった。