アクセサリーは 要りません

3―至誠学院入校までの日々―Side伊吹

「またここで生活する日が戻ってくるとは思わなかった」

正直な気持ちを30文字以内で、と言われたらこれだろう。

東京でトップ校と言われる私立の犀星中高で教師をしていた父は、小学6年生の俺に全寮制の京都の学校へ行く事を勧めた。その学校の教師には、教え子もいるし定年退職した先輩もいるから安心して預ける事ができ、一部だけでなく全員が寮生活ということ、頭は良いけれどそれだけの父の学校の一部の生徒を見ていると残念で将来を心配になるが、至誠なら勉強ももっと大切な事も学べる6年間になると言い切った。俺は学校でだけではなく、家でもずっと友達といれるのは楽しそうだと思った。

実際入学してみると、本当に色々な子がいた。

父親が言っていた「頭は良いけれどそれだけ」ってこういう人の事だったんだとわかる奴、ずっと少年野球をしていて、受験勉強で塾へは行かなかった奴もいる。親が離婚する事になり預けられたような環境の奴もいた。あとは、親が医者とか教授とか社長とかも多い。親は海外って奴もいた。

私立で寮費もあるので、ある程度の支払いができる家の子ばかりだが、こんな色々な環境で育ってきた思春期の男子が24時間一緒に行動させられると、家に帰るという距離をとってリセットする時間がないので、考えられない出来事や衝突事故も起きてくる。
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