Stargazer
あなたがほしい
「俺ね、たくさんある星の中でこと座が一番好きなんだよね〜。何で好きなのか自分でもよくわからないけど、こと座だったらこの夜空を見上げるだけですぐ見つけられるんだ」

数年前の夏の夜、泣きじゃくる私に当時私の担任だったあなたはそう言って笑っていた。そして、望遠鏡を貸してくれて、宝石みたいに煌めく夜空を見せてくれたんだ。

「自分の道を生きていい。君の人生は君のものだ。親に縛られる必要なんてない。自分で人生を歩いていかないと、ロマンスも何もかも失ってしまうよ」

親にあれをしろこれをしろと言われ、できなければ怒られる色褪せた日々が続いていた。そんな日々に色を与えてくれたのは、高校に入ってから出会った先生。燃え盛る夕日のような赤い髪を束ね、いつもダルッとした服を着ていた。

私が入学したのは名門の進学校で、他の先生はいつもピリピリした感じだったけど、先生だけはふわりと笑って夢を見る大切さを言ってくれた。まあ、クラスメートは幼い子どもじゃないから、他人の言葉に素直に頷くことはなかったけど。それでも、私はそんな先生に惹かれて、先生に会いに行ってたんだ。
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