Stargazer
二人で夢の世界へ
スポットライトに照らされる舞台の上は、現実ではなく夢の世界。見ている人たちを夢の中へと誘い込み、惹きつけ、現実世界の全てを忘れさせる。そんな世界を創り上げるのが、僕たち舞台俳優の仕事だ。

「今回の公演の成功を祝って、乾杯!!」

煌めく魔法がかけられた舞台を降りれば、僕たちもただの人間に戻ってしまう。公演が今回も成功し、多くの人に楽しんでもらえた喜びをちょっと高めのレストランでお祝いしていた。

「エレンの演技、すごくよかったよ!」

「入団してきた当初に比べて、めちゃくちゃ成長したなぁ」

先輩たちに声をかけられ、準主役を務めさせてもらった僕は「ありがとうございます!」と照れながらグラスに入ったワインを飲み干した。気分がいいとお酒が進む。

でも、こういう場で注目を集めるのはやっぱり主役を務めた人物だ。その人物を見て、僕の頬が赤く染まる。否、誰もが彼女に視線を向けていた。

ブランドの緩く巻かれた髪を揺らし、口にまるで血のような赤いグラスを引き、黒いセクシーなドレスを着た彼女は、同性異性関係なく視線を集めている。
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