俺の言うとおりにしてください、お嬢様。

お嬢様にしかないもの





「いくぞーーーっ!!」



渾身の一撃で蹴ったボールは、キャッチされることなくスッと避けられた。

そのままコロコロ転がってグラウンド外へ。



「きゃぁっ!危ないじゃないの破壊神……!!」


「当たったらどうしてくれるのよ……!?」



いや、これサッカーだから避けるものじゃないんだけど…。

ドッチボールじゃないんだよ?わかる?



「もう!受け止めてくれなきゃぜんぜんサッカーにならないよっ!!」


「そんなの無理よ…!1人でやってくださる!?」


「授業どーなんのっ!!1人でサッカーとか無理だもんっ!」



未来の旦那様に何かあったときのため、体力づくりとして体育の実技は必須。

だとしてもジャージに土がついただの汚れただの、髪が崩れただの、うるさいお嬢様たち。


そしてグラウンドを囲うように並んで見守る執事たちは飲み物やタオルを持って、いざというときの準備は万端。

そこに数日前からハヤセもいた。



「それよりもどうして早瀬さんが破壊神なんかの専属執事なのよ…!!」


「ズルいわっ!これも柊の力?」



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