ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

黒羽くんは、不思議な子

 午前の授業をことなく終えると、職員室へ呼ばれた。

小嶺(こみね)さんは、まだ選択授業が決まっていないから、5限目は図書館で自習をして下さい」

 古くて分厚い本を1冊、2冊と重ねられ、全部で3冊を渡された。両手で抱えたまま昼食へ向かう。

 足取りが重い。よりによって食堂だなんて。あのクラスの状況で、1人で行くには少し抵抗があった。

 さっきより、もっとずっしりしてる気がする。

 本館を出て、隣のガレッジへ移動した。食堂の中へ入ってすぐのテーブルに、ドサッと本を置く。

 ふう、重かった。それにしても、なんの本?
 教科書にしては分厚すぎるし、資料集かな。

 おばあちゃんのように、肩をとんとんしていると、視線の先に優希ちゃんが見えた。こちらを見て、手を振っている。

 もしかして、一緒に食べていいってことかな?
 よっこらと本を持って、優希ちゃんの元へ急ぐ。

「……いいの?」と言いつつ、返事を書く前に本を積んだ。

「もちろんだよ。いいよね?」

 となりに座るクラスメイトが、微妙な間を開けてうなずく。眉を下げて、唇が震えてる。

 ーーこの子たち、ほんとは嫌なんだ。
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