忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜



挙式のあとにウエディングレセプションが行われ、その会場に向かうとスタッフの方に席に案内された。


隣には、懐かしい男性が座っていた。それは、随分と久しぶりに会う私の父親だった。


私と傑くんは従兄妹同士。厳密に言えばお互いの父親が兄弟だ。しかし私の両親は私が幼い頃に離婚しており、私の親権は母親に渡ったためその後父親には全く会っていなかった。


そういう場合は普通傑くんとも疎遠になることが多いのだろうが、傑くんの幼馴染だった梨香子さんとも仲良くしてもらっていたからか、私は未だに傑くんと連絡を取り合っていたのだ。



「唯香」


「……お父さん」


「久しぶりだな。こんなに大きくなって。見違えたよ」



久しぶりに会ったお父さんは、記憶上よりも大分老けている印象だった。当たり前だ。私と一緒に暮らしていた時から十年以上経ったのだから。


お父さんは久しぶりに会った私といろいろと話したかったようだが、私は今更何を話したら良いか分からず。適当に返事をしながら出された食事に集中した。


パーティが終わり二次会もお開きになった頃にはすでに外は暗くなっていた。私はそのままそのホテルに宿泊することになっていたため、傑くんと梨香子さんが用意してくれていた部屋で休んでいた。


窓からはハドソン川の雄大な絶景を楽しむことができ、部屋も広くてとても豪華だ。


その絶景を写真に収め母親にメッセージで送信していると、梨香子さんからのメッセージがスマートフォンに届いたのだ。


"今ラウンジで美味しいワインをいただいてるの。良かったら唯香ちゃんも一緒にどう?"


それを見て、せっかくだし、と部屋を出て指定されたラウンジへ向かった。


そこではすでに梨香子さんと傑くんはたくさんのワインやビールを飲んだらしく、大分酔っていた。

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