置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
加賀美くんはちょうど見つけたソーキそばの店に車を停めてくれ、2人で暖簾をくぐった。

「めんそーれ」

とおばあちゃんが声をかけてきた。
なんて返したらいいんだろう。
ふと固まってしまうと加賀美くんは「こんちは」と普通に返してしまう。

なるほど。

おばあちゃんは先に案内してくれ私たちはソーキそばを注文した。

レトロな雰囲気で、薄暗くて、ちょっと変な匂いがして……かなり不安だったが運ばれてきたソーキそばは絶品だった。あっさりとした鰹だしで、のっていたソーキもとても柔らかくほろほろとしていた。

「「ごちそうさまでした」」

私たちは車へ戻ると感想を言い合った。

「あの店の中はないな。あれじゃあ観光客はドアを開けた途端閉めそうだよな。あんなに美味しいのにあの店の雰囲気じゃあもったいない」

「本当だね。流石に汚い……じゃなくて、えっと、古めかしい、でもなくて、雑然とした?お店だと食欲なくすね。でもあんなに美味しいなんて反則。商売が下手なのかな。でも続いていそうだから知る人ぞ知る店なのかもしれないね」

「そうだな。あぁいう店は地元の人がきてくれたらいいって感じなのかもな。でも店の雰囲気変えたら繁盛しそうだからもったいないな」

私たちの商売っけが出てしまうがあの店をどうにかできるものでもなく私たちはまた一路ホテルへと向かった。

< 18 / 84 >

この作品をシェア

pagetop