置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
「石垣島いかがでしたか?私も次の時は一緒に行きたいです」

「遊びじゃないから」

「わかってますよぉ。でも私もメンバーだから勉強のためにも連れて行ってください」

「それは俺の権限はないから室長に聞いてみてくれ。俺らも室長から言われて行ってるんだから」

「加賀美さんから室長に口添えしてください。私、加賀美さんとペア組んで頑張りたいです」

「いや、だから俺が決めることじゃないから。竹内の頑張りを見て室長が決めることだから」

梨花ちゃんは私の顔をジロっと見たあと、

「じゃ、槇村さんの代わりになれるよう頑張ります」

そう言うとこの場を去っていった。

うーん……なかなかだわ。
加賀美くん狙いがよくわかる。
そして私が邪魔なのもよくわかった。
でも加賀美くんのいうように私が頼んでペアを組ませてもらっているわけではない。
だから私に睨みをきかせてもしかたないんだけどな。
なんだか呆気に取られたがここにいても仕方ない。
私もミーティングルームから自席へ戻ろうと部屋のドアを開けようとしたら加賀美くんに止められた。

「困ってるんだよ。竹内は同じ部署だし邪険には出来ないだろ。槇村には結構素で話してるけど社内的には万人受けするようにしてるから……きっとお前に冷たいけど自分には優しいから気があるとでも思われてるみたいなんだよな。部内にいる女は2人だからかなんとなく槇村に対抗心があるっていうか。ちょっと言いにくいけど下心が見えてるというかさ」

「分かってるなら相手にしてあげたらいいじゃない。同じ部なのに私には素なんだから彼女とは違うわけでしょ。なら梨花ちゃんに少しは気があるわけだし考えてみたらどう?正直なところ、私に結構とばっちりきてるから」

「いや、竹内は特別じゃない」

「なら私みたいにすればいいじゃない。いつもみたいにみんなに優しい加賀美くんでいるからモテるんだし」

「いや、それはさ。槇村だから素になれるっていうかさ。槇村なら俺にぶつかってきてくれるし」

「ぶつかりたくてぶつかるわけじゃないんだけどね。ま、でも梨花ちゃんのことはよろしくね」

私はイライラとする気持ちを抑えて自席に戻った。
なんでこんなにイライラするんだろう。 
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