置き去りにされた花嫁をこの手で幸せに
駅から家に帰る途中、隼人に電話した。

「お疲れ。今どこ?」

「駅から家に向かってる途中」

「そっか」

「さっきね、大介くんに隼人の話をされたの。大介くんに謝ってくれて、私のことも変わらず仲間でいたって頼まれたって。自分のいない時には守って欲しいって頭を下げられたって」

「あいつ。ペラペラと喋りやがって」

「すごく嬉しかったよ。私の見えないところでも隼人が守ってくれてるんだと思うと心が温かくなった」

「そうか」

どこか照れ臭そうな言い方に私は喉の奥がキュッと締め付けられた。

「ありがとう」

「いや。でもあいつには渡さないからな。なにかあったら一番に駆けつけるのは俺だ」

「うん」

「隼人、大好き」

「俺もだよ」

「また明日ね」

「また明日」

隼人は本当に優しい。
今までも気が付いていないだけでどれほど守られていたんだろう。
今までだって企画が蹴られる前に私のチェックをして修正させられてきた。
だから企画が通ってきた。
今までの実績は彼との共同作業ばかり。

私は彼の手のひらで転がされてたんだな。
フフフ
もうとっくに彼の中に収まってたのかも。

寒空の中、輝く星を眺めながら自然と笑いが込み上げてきた。
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