そんな私に転機が訪れたのは、それから二週間後の金曜日のこと。



「本日は十一時から佐久間商事の専務とのアポイントが入っておりますので、もう間も無く出発予定です」


「その後は?」


「十三時から取締役会議、十六時からは商品開発部の最終プレゼンがございます。その後は先週お会いした屋代社長とのお食事です」


「屋代社長か。場所は決まってる?」


「はい。屋代社長の好きな和食の料亭をおさえてあります」


「了解」



一日の予定を確認し、副社長とともに佐久間商事へ向かうため車に乗り込む。


副社長専属の運転手の男性にもスケジュールは共有しているため、スムーズに発進した。



「津田島さんは、佐久間商事に行くのは初めて?」


「はい。……古い知り合いが働いているはずですが、行ったことはないです」


「そうだったんだ?」



小さく頷く。


実は、佐久間商事は隼也の働いている会社だった。


まだ、営業として働いているのだろうか。役職なんかはついているのだろうか。


……ダメだ。急に隼也に関係することに触れると、どうしても思い出してしまう。