何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。



「片付いてなくてごめんね、ちょっとその辺座ってて。この子寝かしてくる」


「あぁ」



きょろきょろと部屋を見渡していた隼也は、私が隣の部屋に隼輔を寝かしに行くとテレビの前に座った。


それを横目に寝室に入り、お布団の上で隼輔を寝かしつける。


すやすやとした寝息が聞こえ始めたところでそっと部屋を出て、扉を閉めた。



「お待たせ」


「ん、早かったな」


「うん。半分寝てたから。すぐ夕飯作るから待っててね」


「わかった」



そのまま座らずにキッチンに直行し、ササっと夕食を作る。


余っていたうどんを使って焼きうどんを作った。多めに作ったから明日の隼輔の朝ごはんにもあげよう。


そう思って少しだけ薄味のまま取り分けてから、隼也用に少し味を整えてお皿に盛り付ける。



「お待たせ」


「さんきゅ。いただきます」


「いただきます」



隣同士でうどんを食べる。テレビをつけたものの、久しぶりの二人の空間に緊張してしまい、内容は何も頭に入ってこない。


うどんも胃には溜まっているはずなのに、いくら口に入れても全く食べた気がしなかった。


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