何も言わないで。ぎゅっと抱きしめて。
Chapter3

本当のこと




*****



一週間後。


隼也から話があるから会えないかと言われ、昼休みに指定された場所に向かった私は。



「……舞花、ごめん」



開口一番、自ら運転してきた隼也の車の助手席で、頭を下げられていた。



「……何が?どうしたの?」



私が謝る謂れはあれど、隼也に謝られる謂れは無い。


わけがわからなくて隼也の肩に手を添えると、頭を下げたまま隼也はぽつりと呟いた。



「……あの子」


「え?」


「お前の子ども。……俺との子なんだろう?」



ヒュッ……と。無意識に呼吸を止めた。


そっと頭を上げた隼也は、私に視線を向ける。それは私の揺れる目とは反対に真剣そのもので、力強いものだった。



「この間見た時に驚いたんだ。小さい頃の俺にそっくりなんだよ。名前も、俺から一字使ったんだろ?年齢的にもそう考えると全部辻褄が合うんだ」



何を言っているのだろう。


年齢?辻褄?


だって。隼也は、あの夜のことを覚えていないはずなのに。それなのに、どうしてそんなことを。


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