猫目先輩の甘い眼差し
勝者からの告白
◇◇



「ではこれより、2年2組対、1年6組の試合を行います」



終業式前日の午前9時。

旧体育館のコートにて、バレーボールの試合が始まった。



「いきまーす。そーれっ」



クラスメイトの男子の掛け声でボールが宙を舞う。

相手コートに入ったボールが2回バウンドし、私達のコートに返ってきた。



「市瀬さんっ、お願い!」

「はいっ!」

「ナイスっ!」



飛んできたボールを、両腕を伸ばして、前方にいるクラスメイトへ向かってパス。

そして再び相手コートの中へ。


先週、バレー部の子にフォームを教わっておいて良かった。


バウンドするボールを追っていると、ネット付近にいる人がスパイクを撃つ体勢に。


来る……!


宙を舞ったボールが、バシッと強烈な音を立てて私達のコートに入った。



「うわぁっ!」

「っ……と!」



凄まじい速度で返ってきたボールが、斜め前にいた月香ちゃんの腕に直撃。

とっさにカバーし、前にいるクラスメイトにパス。
なんとか落下を防ぐことができた。


ビックリした……。これは一瞬たりとも気が抜けないな。
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