猫目先輩の甘い眼差し


「しばらく会えなくなるっていうのに、なんで冷たくするの?」

「それは……っ、先輩がそうやって甘えてくるからです」



座り直した先輩と再び距離が縮まる。


本当はまだ1分も経っていない。

だけど、もしこの場に誰かが来てしまったら。

それこそ、学校に行けなくなるくらい恥ずかしいので嘘をついた。


けれど今、口走ってしまったことを後悔している。



「甘えられるの、嫌だった?」

「そういうわけではなくて、変なところばかり責めるのがちょっと……」

「変なところ? どこ?」



横から抱きしめられ、耳元で囁く声が響いた。

時々吐息が触れて、思わず声が漏れそうになる。



「ふはっ。真っ赤になってる。可愛い」

「やっ……」



チュッと小さいリップ音が聞こえたのと同時に、耳たぶに温かい物が触れたのを感じた。

今の、まさか……。



「……どうしよう、止まんない」



いつもより低い声が響き、両肩を掴まれた。

視線がぶつかり、ゴクリとつばを飲み込む。



「ごめん、ちょっとだけ」

「……んっ」
< 255 / 312 >

この作品をシェア

pagetop