猫目先輩の甘い眼差し


「もう、バタバタうるさいなぁ。あ、こんにちは」

「こんにちはっ」



すると、少し険しい顔をした男の子が、ドアの隙間から顔を覗かせた。


弟さん、だよね。
えっと、5個下って言ってたから……中1か。

この子も先輩と目元が似てて、猫目っぽい。



「もしかして、れい兄の彼女さんですか?」

「はい。はじめまして。市瀬世蘭です」

「こちらこそはじめまして。弟の由宇です。兄がいつもお世話になっています」



サラサラの髪の毛を揺らして、ペコッと頭を下げた由宇くん。

礼儀正しくていい子だなぁ。

と思っていたら。



「あの、世蘭さんは、れい兄のどこを好きになったんですか?」

「えっ」

「あと、この、猫命のスキンシップ大好き男をどうやって落とし……」

「由宇、ちょっと黙っとこうか」



言っている途中で、零士先輩が強引に口を塞ぎ、部屋から退出させた。

キッチンでお茶を準備している彼のお母さんも、クスクス笑っている。



「ったく、あいつは余計なことを……」

「あらあら。本当のことじゃない」

「だからって、世蘭ちゃんの前で言うなんて……」
< 300 / 312 >

この作品をシェア

pagetop