猫目先輩の甘い眼差し
ドーベルマンの会長さん
◇◇



「世蘭ちゃん、おはよう〜」



翌週の火曜日。

下駄箱で靴を履き替えていると、月香ちゃんに肩をポンと叩かれた。



「おはよう月香ちゃん。あっ、そのカーディガン!」

「うん! 早速今日下ろしてきたの!」



ブレザーの袖から見えた、目新しいベージュ色。

昨日、学校終わってすぐ買いにいってたっけ。



「いいなぁ。私も茶色いの着たいな」

「まだ買ってないんだ?」

「うん。こないだ柵買っちゃったから、少しでも節約しなきゃなと思って。まだ相談できてないんだよね」



笹森くんに言われたように、本当はトラ吉とお揃いにしたい。

けど、数日前に大きな出費があったから、欲しいと言えなかった。


まぁ、別に追加で買わなくても、カーディガンは白いの持ってるし。

今着ている規定のベストと合わせても、充分着回しできている。

お揃いコーデも私服でやればいいし。


……とはいえ、2度も新作を目の当たりにすると、やっぱり欲しくなってくるわけで。

本音を言うと、今年は修学旅行があるから、せっかくなら着たい服を着て写真にうつりたい。
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