猫目先輩の甘い眼差し


「忙しい中、来てくれてありがとう。宿題はどう? 終わった?」

「はい! ちょうど今朝終わらせてきました!」



目の前に座っている颯くんに尋ねると、満面の笑みで答えてくれた。


塾からGW用に大量の宿題を出されて、ここ数日間、家にこもって勉強していたという。

『無理しなくていいよ』って言ったんだけど、普段部活にあまり行けない分、どうしても参加したかったんだって。


さすが、学年1の優等生。

一見陽キャだけど、根は真面目なんだよな。



「それなら明日は自由に過ごせるね!」

「えへへ。友達と猫カフェに行ってきます!」

「うわぁ、堂々と浮気宣言ですか」

「違うよ! 勉強のために行くんだよ!」

「本当かぁ?」



慌てて否定した颯くんを、疑いの眼差しで見つめる郁海。


浮気ねぇ……。

トラ美ちゃんの気持ちになってみると、正直いい気分はしないよな。


だけど、店員さんからリアルな猫情報を聞けるから、勉強ができるのも事実。

それに、色んな種類の猫と触れ合うと特性の違いを体感できて、さらに知識が広がる。
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