「え…っと…、どうかな。私、零…早乙女君達とは、そんなに親しくなかったから……」


考えに考えて、絞り出したような返事は、自分でも滑稽なほどかすれていた。


「ああ、言われてみれば、確かに朝倉さんと零二君達が話してるのは見たことないわね。でも、そういう朝倉さんだったら、俯瞰で見られたんじゃない?ね、あの二人、どう思う?」
「え……さあ…?……でも、ロボットとか、博士とか……、そういうの、まさかみんな本気で信じてる、の?」


そんなSF映画みたいな話、簡単に信じる方がおかしい。
英一君がアンドロイド?それを作ったのが零二君?
そんな非現実的な話、そんなのって、あり得ない。信じられない。
みんな何言ってるの?
映画や漫画の見過ぎなんじゃない?

言外にそんな批判めいたものを持たせて尋ねながらも、私は彼女を愕然と見つめ返していた。
だって彼女は、本気で英一君のことをアンドロイドだと思ってるのだろうか?
ついこの前まで一緒に講義を受けていた同級生のこと、急にそんな風に思えてしまうのだろうか?


すると彼女は、プッと吹き出した。

「やだ、そんな真剣な顔して、朝倉さんってば面白い」
「え……?」
「そんなわけないじゃない。何も本気で英一君がアンドロイドだなんて誰も思ってないわよ」
「……え?」
「あんなどこからどう見ても人間にしか見えないロボットが作れるはずないでしょ。もし本当にそんなの作れる人がいたら、ノーベル賞ものよ。冗談よ、冗談。たまたまサオトメって名前が一緒なだけで、二人ともどう見ても人間でしょ?朝倉さんって、おとなしい人だと思ってたけど、意外と面白いね」
「……そ、かな?」
「うん。真面目って言うか、純粋って言うか、とにかく新発見だわ。ね、また今度ランチでもしようよ。もっと朝倉さんと話してみたくなったわ」
「あ……うん、そうだね…」


笑いを堪えられない彼女はそう締め括ると、唖然としている私を残し、他の同級生にも冗談(・・)を触れ回りに行ったのだった。



「冗談…」

あり得ないと思ってるからこその、冗談(・・)
それもそうだ。そんなわけないのだから。
でも……
本当に、冗談、なのだろうか?
あり得ない話、なのだろうか?

私は何か引っ掛かるような気もしていた。

その証拠に、エアコンの効いている室内なのに、動揺や困惑、焦りが束になって押し寄せたからか、私の額にはじっとりと汗が浮かんでいて――――――



――――――汗?




ひやりと、背筋を何かが通り抜けた気がした。



そしてそんな私を煽るように、スマホが鳴りだす。
表示された名前は、”零二君”

このタイミングの意味を深読みしたくない私は、廊下に出て、平然のふりで、だが今にも震えそうな指先で、恐る恐る電話に出た。


「………はい」
《朝倉?》
「その声は……英一君?」


思いもよらぬ人からの電話に、頭の中ではけたたましく警報音が鳴りだす。



「英一君がどうして零二君の携帯を―――――――は?行方不明?」



英一君からの電話は、零二君の行方不明を知らせるものだった。