再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司

忘れられない人  side新太

「かわいい顔して、やっと寝たか」
朝方まで眠むれないでいるみたいだったからな。

眠むれない原因を作ったのは俺自身だろうから偉そうなことを言えた義理ではないが、外が明るくなってやっとウトウトし始めた彼女、和田環の顔を俺は間近から見つめていた。

*****

彼女は3年ぶりに再会した元部下で、俺が初めて受け持った研修医。
俺自身、卒業した大学に残って研修医になったし、そこは父さんや兄さんや母さんまでが卒業した母校で、名前を言うだけで「ああ、あの皆川の」って扱い。その分優遇もされたし、きついことも理不尽なことも言われることはなかったが、はれ物に触るように扱われた感があって好きになれなかった。
だから、研修医が終わると海外に飛び出し、帰ってきてからは都内の大学病院へ就職した。
実力社会の海外の現場を見て自分がどれだけ甘やかされていたかを知ったし、もっと技術を磨かないといけないと痛感したからの選択だった。
そんな時、彼女に出会った。
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