再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司

近ずく距離と遠のく気持ち

金曜日の飲み会で酔いつぶれてしまって、新太先生のマンションに泊った。

家には事前に連絡してもらっていたせいかあまり怒られることはなかったけれど、
「すごく心配したのよ」
と言う奥様の顔は暗くて、申し訳ない気持ちになった。

日曜日に学会から帰ってきた副院長には、
「嫁入り前の女の子の外泊は感心しない」
厳しい表情でお説教され、さすがに落ち込んだ。

10代で両親を亡くして以来、心配されることも叱られることも久しぶりで反発するよりも大切にしてもらっていることへの感謝の気持ちが勝った。
両親が生きていればきっと同じように叱られたことだろう。そう思うと、ありがたい気持ちでいっぱいになった。
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